リグニン、黒液、白液、白水

大規模水質特論

こんにちは、ヘルメット犬(@helmet_dog)です。

この記事では

  • 紙の製造工程
  • リグニン、黒液、白液、白水とは

について試験に出題されやすいところを中心にサクッと整理します!

紙の製造工程

リグニン黒液白液白水はいずれも紙の製造工程で出てくる専門用語になります。

まずは紙の製造工程を簡単に整理しておきます。

紙の製造工程の概要

パルプ製造工程

蒸解工程
  • 木材は木材繊維と繊維同士を固める接着剤としての役割を果たすリグニンから成り立っている。
    このリグニンを分解するのが蒸解工程である。
  • 木材チップは水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムの混合液(白液)とともに連続蒸解窯に入れられ、蒸煮される。

洗浄工程
  •  黒液(リグニンを含む蒸解後の廃液)とパルプ繊維を分離する工程。

薬品回収工程
  •  黒液の固形分濃度は約20%であるが、バキュームエバポレーターを用いて約80%に濃縮される。
  •  蒸発した水蒸気は多量で、熱も持っているため、凝縮水として回収することで、節水及び省エネルギーの二重の効果がある。
  • 黒液は濃縮後、回収ボイラーで燃焼させ、蒸気及び電気エネルギーとして回収する。
  • 黒液に含まれていた無機物は回収ボイラーの炉底部から排出される。無機物中のナトリウムや硫黄などは水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムに再生され、再び木材チップの蒸解に使用される。
酸素脱リグニン
  • 洗浄工程を出た未ざらしパルプには、まだリグニンなどの有機性不純物が含まれており、薄茶色に着色しているので、酸素脱リグニン工程で分解除去する。
  • 木材繊維に付着残存していたリグニンがアルカリ性・加圧条件下で酸素ガスによって分解される。
漂泊工程
  • パルプ中に残存しているリグニンなどの有機不純物の除去及び発色基の分解を目的とする工程。
  • 漂白の方法の中でも、ECF漂白は塩素ガス用いずに二酸化塩素を主体とした方法である。
    二酸化塩素と酸素系漂白剤を組み合わせた漂白方法であり、クロロホルムなどの有機塩素化合物をほとんど発生させない。

抄紙工程

紙料調成工程
  • 紙の色合いを調整する薬品などが添加される。

ワイヤーパート
  • 約0.8%のスラリーに希釈された抄紙原料は高速で回転するワイヤーの上に均一に噴出され脱水される。
  • ワイヤーからのろ水(白水)には炭酸カルシウム、タルク、微細繊維が含まれている。
    →新しい抄紙原料はこの白水で希釈され、再びワイヤーパートに送られる。
    →余った白水は白水回収工程で処理される。

プレスパート
  • ワイヤーパートを出た湿紙をロールとロールで挟み込んで加圧し、脱水する。

ドライヤーパート
  • 水分約50%の湿紙を蒸気で加熱した回転円筒に当てて乾燥させる。

コーターパート
  • 乾燥した紙の表面に水性塗料を均一に塗布する。

断裁・包装
  • 出来上がった紙を断裁、包装する。

紙の製造工程(主にパルプ製造工程)がわかりやすく説明されています。
(英語ですが、イラストで何となく言っていることがわかります。)
英語でも白液をWhite liquor黒液をBlack liquorと呼んでいますね。

The Making of Pulp

リグニン、黒液、白液、白水とは

紙の製造工程の説明から抜粋すると以下のように説明できます。

リグニン
木材は木材繊維と繊維同士を固める接着剤としての役割を果たす高分子のフェノール性化合物

黒液
リグニンが溶けた蒸解工程で発生する廃液

白液
水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムの混合液。蒸解工程で木材チップとともに蒸解窯に投入される。

白水
抄紙工程のワイヤーパートでスラリーを脱水した際に発生するろ水。
白水中には炭酸カルシウム、タルク、微細繊維が主に含まれる。

参考

  1. 新・公害防止の技術と法規 大規模水質特論

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