こんにちは、ヘルメット犬(@helmet_dog)です。
この記事では
- 加圧浮上分離装置とは
- 凝集沈殿法と加圧浮上分離法の比較
について試験に出題されやすい部分をサクッと整理します!
加圧浮上分離装置とは
概要
水より密度が小さい若しくは同程度の懸濁物を分離する方法として、浮上分離の技術が用いられます。
浮上分離には重力式浮上分離法と、加圧式浮上分離法があります。
- 重力式浮上分離法
水より密度の小さい懸濁物質を分離。主に油水分離装置が該当する。 - 加圧式浮上分離法
水と密度が近い懸濁物質を分離。加圧分離浮上装置が用いられる。
つまり、加圧分離浮上装置は水より密度が同程度の懸濁物質を分離する装置を指します。
構成
- 微細なコロイド状の懸濁物質は分離できないので、あらかじめ凝集処理する。
- 原水が加圧水と非加圧水に分岐される。
- 加圧水側は空気溶解槽で圧縮空気が溶解される。圧力は200~500kPa(ゲージ圧※)程度で滞留時間は1~2分程度である。空気溶解槽は空気との分離も兼ねているので頂部に空気抜き弁を設ける。
- 空気溶解槽を出た後は減圧弁を通り、非加圧水と混合される
- その後、浮上分離槽に供給される
- 懸濁物質(フロック)の周りに溶解した空気が付着し、懸濁物が浮上する
- 浮上した懸濁物はかき寄せ機(スキマー)で回収される
※ゲージ圧は大気圧を圧力0の基準と表記する圧力のこと。天気予報等で耳にする1030hPa等は絶対圧力です。ゲージ圧力=絶対圧力-大気圧の関係となります。工業では基本的にゲージ圧が用いられることが多いです。
少し装置構成は異なりますが、動作のイメージがわきやすい動画がありました。
1つ目はアニメーションで動き方を順々に説明しています。
2つ目は実際の装置でスキマーで懸濁物質がかき集められる様子がよくわかります。
凝集沈殿法と加圧浮上分離法の比較
凝集沈殿法と加圧浮上分離法は懸濁物質を沈降させるか、浮上させるかの違いがありますが、その他にも特徴的な違いがいくつかあるので整理しておきます。試験でもよく問われるので、覚えておきたいですね。
項目 | 該当方法 | 備考 | |||||
速度 | 浮上 | 浮上速度は沈降速度より速い | |||||
所要動力が小さい | 凝集 | 加圧浮上法はポンプで空気送る動力が必要 | |||||
処理水の清澄度が高い | 凝集 | 加圧浮上法では十分な接触時間がない。また、減圧弁でフロックが破壊される。 | |||||
原水温度に対する安定性の高さ | 浮上 | ||||||
滞留時間が短い | 浮上 | 浮上分離15-30分、凝集分離1-2時間 |
参考
- 新・公害防止の技術と法規 汚水処理特論
- KCRセンター(栗田工業) 加圧浮上装置
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