こんにちは、ヘルメット犬(@helmet_dog)です。
この記事では
- 冷却塔の仕組み
- 濃縮倍数の公式
についてサクッと整理します!
冷却塔の仕組み
生産プロセスで、対象物を冷却するために冷却水(冷水塔)がよく用いられます。対象物を冷却すると同時に、冷却水は温度上昇するため、その温度上昇分を取り除くために冷却塔が用いられます。また、冷却水は工業用水の全使用水量中の60%を占めるともいわれ、水利用の合理化を考える際には最初に検討すべき対象になります。
仕組みとしては①~④のような流れになります。
- 循環水は “冷却対象”⇄”冷水塔”を絶えず循環している
- 冷水塔から冷却水が供給される(青矢印)
- 冷却対象を除熱すると同時に、冷却水は温度上昇し、冷水塔に戻ってくる(橙矢印)
- 冷水塔で大気と接触することで、冷却水が冷やされ、再び冷却対象に供給される
ほとんどの冷却水は循環水として循環していますが、水の一部は失われ、大別すると3つに分けられます。
- 蒸発E
冷水塔に戻ってくる冷却水は温度上昇しているため、一部は蒸発して大気中に失われます。 - 飛散W
冷水塔は屋外にあるため、一部は飛散して失われます。また、ポンプシール部の漏水や配管からの漏れ等失われる種々の水を含みます。 - ブローB
循環水中の塩類濃縮を制御するため、一部を系外に排出する必要があります。
これらの損失をカバーするため、補給水Mが供給されています。
YouTubeに冷水塔の簡単な動画があったので、紹介しておきます。
前半は冷水塔上部の映像です。上部から水が散水されている様子がわかります。上部にはファンが並んでおり、大気との接触を促す仕組みになっています。
後半は内部の映像。側面に充填材のようなものが見えます。ここで大気と接触しているわけですね。
この動画を見た後に神鋼環境ソリューションのHPを見るとわかりやすいですね。
濃縮倍数の公式
濃縮倍数とは
この冷水塔に関して試験に毎年出題されているほど頻出なのが、濃縮倍数に関する問題です。
濃縮倍数とは、循環水中での塩類濃度が補給水に対して何倍になっているかを表します。
冷却水が循環する中で、蒸発が進むとカルシウムイオン等の濃度が高くなり、塩類(炭酸塩、ケイ酸塩など)は塩類(炭酸塩、ケイ酸塩など)として析出し、写真のような汚れに発展します。
これらは配管の腐食や熱交換器の効率低下につながるため、抑制する必要があります。
その指標として濃縮倍数が使われることになります。
公式の導出
濃縮倍数Nは以下式で表されます。
簡単に導出します。
まず、濃縮倍数は「循環水中での塩類濃度が補給水に対して何倍になっているか」を表します。
循環水中の塩類濃度をCR、補給水中の塩類濃度をCMとします。
補給水Mから流入する塩類量と、ブローB及び飛散Wにより流出する塩類量は等しいため、
(1)(2)より
ここで、補給水Mは損失した冷却水量と等しいので、
(3)(4)より
蒸発Eや飛散Wは運転条件が一定であれば固有の値となるので、ブローBを調整することで濃縮管理することができます。
参考
- 新・公害防止の技術と法規 大規模水質特論
- 神鋼環境ソリューション 冷水塔
- イチキコーポレーション 充填材のスケール・藻・スライム除去、目詰まり解消
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