こんにちは、ヘルメット犬(@helmet_dog)です。
この記事では
- ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)法とは
- どんな時に使うか
についてサクッと整理します!
ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)法とは
ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)法とは
溶液、気体などの試料をガスクロマトグラフで各成分に分離した後、質量分析計でイオン化し、
検出部で成分の質量を測定することで定性・定量分析する装置
になります。
定性・定量分析するという意味ではガスクロマトグラフ(GC)と同じです。
GC法では検出方法に熱伝導度検出器(TCD)や水素炎イオン化検出器(FID)があるのに対して、質量分析計を用いるものをガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)法と呼んでいます。
塩素化炭化水素、農薬など含有量が微量で、かつ組成が複雑な試料の分析として有力な手段です。
装置の概要図です。測定の要となるのは
ガスクロマトグラフ → GC/MS接続部 → イオン化部 → アナライザー → 検出部
の部分になります。
ガスクロマトグラフ
ガスクロマトグラフの詳細については以下記事でまとめています。ぜひ参照ください!
GC/MS接続部
大気圧のカラム出口と高真空の質量分析計のイオン源を接続する部分になります。
イオン化部
GC分離された成分をイオン化する部分。質量分析計は質量に関する情報を電磁気的に分析する装置のため、イオン化し、電荷をもった状態にする必要があります。イオン化法には電子イオン化(EI)法、正イオン化学イオン化(PCI)法、負イオン化学イオン化(NCI)法などがあります。
イオン化法 | 概要 |
電子イオン化法 (EI) |
最も一般的な方法。真空下でフィラメントから放出された数十eV以上のエネルギーをもつ電子を成分分子に照射しイオン化する。 |
正イオン化学イオン化法 (PCI) |
イオン化室を高純度メタンなどの試薬ガスによって100Pa程度の圧力で満たし、電子線などを照射して試薬ガス由来の反応イオンを生成させる。 |
負イオン化学イオン化法 (NCI) |
PCI法同様にメタンなどの試薬ガスでイオン化室を満たす。イオン化の機構は反応イオン型と電子捕獲型に大別される。 |
アナライザー
イオン化部で生成したイオンを質量電荷比(m/z)に応じて分離する部分。磁場形、四重極形、三次元四重曲形(イオントラップ形)、飛行時間形などがあります。
最も利用されるのは四重極形で、4本の円柱若しくは双曲面を持つロッドを平行に設置し、対抗するロッドには同じ電位を、隣り合うロッドには正負逆の電位をかけ、高速で切り替えたものです。イオンが四重極の中心軸に入射されると振動しながら中心軸方向に進むが、特定のm/zを持つイオンだけが検出器に到達する。検出器に到達するイオンのm/zはロッド電位に比例するため、ロッド電位を走査する(一定の順序で電位を切り替えていく)ことでマススペクトルが得られます。
検出部
検出部には二次電子増倍管形検出器、光電子増倍形検出器、マイクロチャンネルプレート(MCP)などが用いられます。いずれも最終的には電子の放出を増幅させて、電流として検出しています。
検出部 | 概要 |
二次電子増倍管形検出器 | イオンの入射をきっかけに二次電子が放出され、二次電子の増幅によって最終的に106~108倍の電流となり、検出される。 |
高電子増倍形検出器 | イオンの入射をきっかけに電子放出→光子放出→光電子放出→二次電子放出を繰り返し、最終的に106~108倍の電流となり、検出される。 |
マイクロチャンネルプレート(MCP) | MCPは薄いガラス板に内径約10μmの孔(チャンネル)がハチの巣状にあけられたもので、チャンネル内壁にイオンが衝突すると、複数の二次電子が放出され、最終的に指数関数的に増倍された電流が検出される。 |
どんな時に使うか
ではどんな物質に対してGC法を使えるのでしょうか?
島津製作所のHPでは以下のように書かれています。
- ガス状の化合物または気化する化合物
300℃程度以下で気化する(分解しない)化合物- 一般的に有機化合物
有機金属も可能(例:CH3HGCl)- 分子量は約1000程度まで
大きい分子量の化合物:高沸点,気化しにくい- 無極性-中極性の吸着しにくい化合物
具体例として、公害防止管理者の試験範囲で取り上げられている物質を以下に挙げています。
試験でもよく問われるので、覚えておきたいですね!
- シマジン
- チオベンカルブ
- ポリ塩化ビフェニル(PCB)
- 塩素化炭化水素
- ベンゼン
- 1,4-ジオキサン
参考
- 新・公害防止の技術と法規 水質有害物質特論
- 島津製作所 ”GCMS分析の基礎”
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