こんにちは、ヘルメット犬(@helmet_dog)です。
この記事では
- ガスクロマトグラフ(GC)法とは
- どんな時に使うか
についてサクッと整理します!
ガスクロマトグラフ(GC)法とは
ガスクロマトグラフ(GC)法とは
気化させた試料をカラム(吸着剤が充填された管)を通し、
吸着材に成分を分離し、試料内の成分を特定・定量する手法
になります。
サンプル中に「何がどれだけ入っているか」を測定することができるわけですね。また、気化させるため、迅速に測定できる利点もあります。
装置の概要図です。測定の要となるのは
キャリヤーガス源 → 試料導入部 → カラム → 検出器
の部分になります。
キャリヤーガス源
キャリヤー=carrier、つまり、気化した試料をカラムに流し込み、「運ぶ」役割をするガスになります。カラムに吸着されないヘリウムや窒素などの不活性ガスが用いられることが多いようです。
試料導入部
その名の通り、試料を導入する部分になります。「シリンジ」と呼ばれる注射器のようなもので液体の試料を流入させます。試料導入部は液体を気化させるために、高温に設定されており、試料成分中の最高沸点より30~60℃程度温度を高く設定するのが目安になります。そういう意味では、ある程度試料中に何が含まれているのか、あたりをつけておく必要がありますね。
カラム
試料中から各成分を分離するための管になります。
カラムには充填カラムとキャピラリーカラムがあります。一般に、キャピラリーカラムの方が分離能力は優れています。
充填カラム
内径0.5~6mm、長さ0.5~20m程度の金属、ガラス又は合成樹脂の管に分離用充填剤を詰めたもの。
キャピラリーカラム
内径0.1~1.2mm、長さ5~100m程度の金属、ガラス、石英ガラス又は合成樹脂の管に0.05~20μm程度の固定相液体又は吸着形充填剤の微粒子を固定化し、中空構造になっているもの。
検出器
検出器には複数種類があります。いくつか代表的なものをピックアップして表にまとめました。
検出器 | 特徴 | ||||||
熱伝導度検出器 (TCD) |
●熱容量の大きい金属ブロック内の流路に金属フィラメント等の検出素子を収めたもの ●ガスが流入し熱伝導率が変化 →フィラメントの温度変化 →電気抵抗率の変化で検出 ●感度はあまり高くない |
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水素炎イオン化検出器 (FID) |
●水素の燃焼するノズル、加電用電極及びイオンコレクター電極などから成る本体と、この電極間に直流電圧を与え、イオン電流を測定するための回路から構成される ●キャリヤーガスと水素の混合ガス燃焼時には電極間の電流は流れない。 →有機物がキャリアーガスとともにフレームに入る →多量のイオンが生成 →電流が流れて検出 ●多くの有機物に対してTCDの1000~10000倍の高感度を示すが、無機ガスに対してはほとんど感度を持たない。 |
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電子捕獲検出器 (ECD) |
●陽極(ガス入口)、陰極(ガス出口)及び放射源(63Ni)を備えた構造。 ●放射線源からβ線がキャリヤーガスを電離 →両極間に微少電流が流れる →有機ハロゲン、ニトロ化合物など自由電子を捕獲する物質が入ってくると電流減少し検出 ●アルキル水銀、塩素化炭化水素などに用いられる。 ●放射性物質使うため、文部科学省に届け出て許可を受ける必要がある。 |
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炎光光度検出器 (FID) |
●燃焼ノズル、光学フィルタ、光倍増管などから構成される。 ●水素炎中で物質が燃焼するときの発光を測定する。 ●含硫黄化合物及び含りん化合物を選択的、高感度に検出する。 |
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熱イオン化検出器 (TID、NPD、FTD) |
●FIDのノズルの先端にアルカリ塩などのチップを付加したもの。 ●アルカリ塩が加熱されてイオン化するが、ここに含窒素有機化合物又は含りん有機化合物が入るとイオン量が増加し、検出される。 ●含窒素化合物及び含りん化合物を選択的、高感度に検出する。 |
どんな時に使うか
ではどんな物質に対してGC法を使えるのでしょうか?
島津製作所のHPでは以下のように書かれています。
GCで分析が可能な成分の主な特長は以下の3点です。
- 沸点が400度までの化合物
- 気化する際の温度で分解しない化合物
- 気化する際の温度で分解しても常に一定の分解を生じる化合物 ⇒ 熱分解GCと呼ばれます
具体例として、公害防止管理者の試験範囲で取り上げられている物質を以下に挙げています。
試験でもよく問われるので、覚えておきたいですね!
- アルキル水銀化合物
- 有機りん化合物(パラチオン、メチルパラチオン、EPN、メチルジメトン)
- シマジン
- チオベンカルブ
- ポリ塩化ビフェニル(PCB)
- 塩素化炭化水素
- ベンゼン
- 1,4-ジオキサン
参考
- 新・公害防止の技術と法規 水質有害物質特論
- 島津製作所 ”GC分析の基礎”
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