こんにちは、ヘルメット犬(@helmet_dog)です。
化学メーカーの生産技術として設備の設計をしています。
ところで、ここでいう「設計」とは何でしょう?
私が仕事の中で行っている設計を具体例を交えて紹介したいと思います。
設計には種類がある
まず、設計には
①概念設計
②基本設計
③詳細設計
があります。①→③に向かって設備が具体化していきます。
※業界や職種によってこれらの言葉の定義は異なると思いますが、私が考える定義をここでは紹介します。
下の表に各設計で
- 何をするか
- 誰が行うか
- 例として「原料AとBを反応させ、Cを生産するプラント」を設計する場合に考えることは何か
を整理してみました。
概念設計 |
基本設計 |
詳細設計 |
|
何をするか |
満たすべき最低限の要求項目を決定する。あくまで概念。定性的。 |
要求項目達成に必要な設備の基本仕様を具体化する。定量的。 |
要求項目以外の部分含めて、すべての仕様を決定する。 |
誰が行うか |
・上流の部署(事業部等) |
生産技術部担当者 |
エンジニアリング部 |
例えば |
<最低限必要な設備> ●原料A,Bのタンク |
<各設備の基本仕様> |
<各設備の詳細仕様> ●原料A,Bのタンク |
こんな感じかと思います。
表でいうと私が担当しているのは基本設計の部分になります。
設備のすべてを設計するわけではなく、概念設計の要求に必要な主要項目を決定します。
生産技術部員の人が行う設計例
上の例にもある、「原料AとBを反応させて、Cを生産するプラント」について考えてみましょう。
他の設備も含めると説明が長くなりますので、原料Aのポンプを考えてみます。
ポンプの能力、つまり流したい流量を決める必要があります。
前提条件
- Cは1日100kg生産したい
- Cを100kg生産するのにAは65kg必要
- Aの密度は1000kg/m3
計算
ポンプの流量はL/h、m3/h、L/minなど体積流量で表されます。ここでは体積流量L/hを求めます。
前提条件から、1日当たりのAの消費量は65kg/日なので
65[kg/日]÷24 [h/日] ÷1000 [kg/m3] = 0.0027 [m3/h] = 2.7 [L/h]
計算上2.7L/hを流す能力が必要であることがわかりました。
ただし、 ピッタリ 2.7L/hの能力のポンプだと、運転条件によっては流せない可能性もあるため、余裕を持つことが多いです。
ここでは+10%の余裕をみるとし、3.0L/hのポンプを最終の仕様とします。
※ポンプ1つでも圧力、材質、形式など他にも考慮すべき点はもろもろありますが、今回は割愛します。
計算後の流れ
エンジニアリング部に 「3.0L/h流せるのポンプが必要です」と伝えると、エンジニアリング部がポンプメーカーとやり取りしながら詳細設計していくことになります。
最後に
生産技術の言う「設計」のイメージ少しでも伝わったでしょうか。
ポイントは「設備の全部を決めるわけではなく、主要な仕様を決定する」というところです。
もちろん生産技術の仕事は設計以外にもありますが、生産技術の仕事に興味がある人の参考になれば幸いです。
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