濃度規制、総量規制

水質概論

こんにちは、ヘルメット犬(@helmet_dog)です。

この記事では

  • 濃度規制とは
  • 総量規制とは
  • 濃度規制と総量規制の違い

についてサクッと整理します!

濃度規制とは

概要

水質汚濁防止法による排水規制の一つです。
有害物質生活環境項目の許容限度を定め、その限度(濃度)をクリアするように規制する制度になります。

規制対象

排出水=特定施設を設置する工場、又は事業場(特定事業場)から公共用水域(河川、湖沼、海域等)に排出される水。

ただし、規制物質や項目である、有害物質・生活環境項目で対象が異なります。

  • 有害物質
    ⇒すべての特定事業場が規制対象
  • 生活環境項目
    ⇒排出水の量が50m3以上の特定事業場

また、特定施設とは有害物質を含む汚水等、又は生活環境項目に関して生活環境を阻害する恐れのある程度の汚水を排出する施設を指します。

規制物質・項目

水質汚濁法施行令(水質汚濁法の詳細内容)で排水基準として、有害物質生活環境項目とその許容限度が定められています。
(最新情報は環境省のHP参照)

有害物質
  1. カドミウム及びその化合物
  2. シアン化合物
  3. 有機燐化合物
  4. 鉛及びその化合物
  5. 六価クロム化合物
  6. 砒素及びその化合物
  7. 水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物
  8. アルキル水銀化合物
  9. ポリ塩化ビフェニル
  10.  トリクロロエチレン
  11. テトラクロロエチレン
  12. ジクロロメタン
  13. 四塩化炭素
  14. 1,2―ジクロロエタン
  15. 1,1―ジクロロエチレン
  16. シス-1,2―ジクロロエチレン
  17. 1,1,1―トリクロロエタン
  18. 1,1,2―トリクロロエタン
  19. 1,3-ジクロロプロペン
  20. チウラム
  21. シマジン
  22. チオベンカルブ
  23. ベンゼン
  24. セレン及びその化合物
  25. ほう素及びその化合物
  26. ふっ素及びその化合物
  27. アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物
  28. 1,4-ジオキサン
生活環境項目

「生活環境項目」という用語は水質汚濁防止法に出てきません。公式テキスト「新・公害防止の技術と法規 水質概論」に倣った、便宜上の呼び方であることに注意ください。

  1. pH
  2. BOD
  3. COD
  4. 浮遊物質量(SS)
  5. ノルマルヘキサン抽出物質含有量(鉱油類含有量)
  6. ノルマルヘキサン抽出物質含有量(動植物油脂類類含有量)
  7. フェノール類含有量
  8. 銅含有量
  9. 亜鉛含有量
  10. 溶解性鉄含有量
  11. 溶解性マンガン含有量
  12. クロム含有量
  13. 大腸菌群数
  14. 窒素含有量
  15. りん含有量

総量規制とは

概要

総量規制も水質汚濁防止法による排水規制の一つです。
東京湾、伊勢湾などのように人口、産業などが集中し、水質の汚濁が著しい水域であり、かつ、濃度規制のみでは環境基準の確保が困難な広域な水域(=指定水域)を対象に、汚濁負荷量の総量を削減しようとする制度になります。

規制対象

指定地域内の特定事業場で1日当たりの排出水の量が50m3以上のもの。

指定地域・・・指定水域を含む地域全体
指定水域・・・水質汚濁法施行令(水質汚濁法の詳細内容)で指定水域として定められている、東京湾・伊勢湾・瀬戸内海。
(最新情報は水質汚濁法施行令参照)

規制物質・項目

指定項目として定められているCOD窒素含有量りん含有量3項目で、基準値(総量規制基準)は定められた式で算出します。

濃度規制と総量規制の違い

それぞれの違いをまとめると以下のようになります。

規制区分 規制の種類 対象 規制項目
排水規制 濃度規制 排出水を排出するすべての工場、事業場 有害物質 カドミウム等定められた物質
排出水量が50m3/日以上の工場・事業場 生活環境項目 pH等定められた項目
総量規制 指定地域内の排出水量が50m3/日以上の工場・事業場 指定項目 COD、窒素含有量、りん含有量

参考

  1. 新・公害防止の技術と法規 水質概論
  2. e-Gov 法令検索 水質汚濁防止法
  3. e-Gov 法令検索 水質汚濁防止法施行令
  4. 環境省HP 一律排水基準

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