浸透規制、構造規制

水質概論

こんにちは、ヘルメット犬(@helmet_dog)です。

この記事では

  • 浸透規制とは
  • 構造規制とは
  • 浸透規制と構造規制の違い

について試験で問われやすい部分を中心いサクッと整理します!

浸透規制とは

概要

水質汚濁防止法による地下浸透の規制の一つです。地下水の水質を保全する目的で規制されています。

規制対象

特定地下浸透水
=有害物質を製造・使用・処理する特定施設(有害物質使用特定施設)を設置する工場又は事業場(有害物質使用特定事業場)から地下に浸透する水で有害物質使用特定施設に係る汚水等

が規制対象になります。簡単に言うと、有害物質が含まれててで地下に浸透しそうな水のことです。

※ややこしい用語を整理しておきます。

用語 意味
有害物質 水質汚濁防止法施行令で定められているカドミウムなどの物質
特定施設 有害物質を含む汚水等、又は生活環境項目に関して生活環境を阻害する恐れのある程度の汚水を排出する施設
有害物質使用特定施設

有害物質を製造・使用・処理する特定施設。

製造=有害物質を製品として製造すること
使用=原料、触媒等として使用すること
処理=有害物質を処理する為に有害物質を分解、除去すること

法で具体的な施設が定められているわけではなく、個別の特定施設ごとに判断される。

有害物質使用特定事業場 有害物質使用特定施設を設置する工場又は事業場。

規制物質・項目

基準には浸透基準浄化基準があり、いずれも有害物質に対して基準値が定められている。
(環境省HP 地下水質に係る基準値について)

  • 浄化基準
    水質汚濁防止法施行規則(水質汚濁防止法の中身についてより詳細に定めたもの)に定められている。
    概ね環境基準と同等の値を採用している。
  • 浸透基準
    特定地下浸透水に該当するかどうかの基準となる。
    水質汚濁防止法上は「有害物質が検出されること」が特定地下浸透水である要件になっているが、具体的な数字は概ね環境基準の1/10程度の値となっている。

構造規制とは

概要

構造規制地下浸透の規制の一つです。
有害物質による地下水の汚染を未然に防止するために、施設の構造や点検に関して基準を設けて規制する制度になります。

規制対象

有害物質使用特定施設有害物質貯蔵指定施設の設置者。
ただし、有害物質を含む水が地下に浸透する工場、事業場を除く(これらは浸透規制で規制)。

有害物質使用特定施設有害物質貯蔵指定施設は設置する際に都道府県知事などに届出なければいけません。
以下に、届出が必要な内容を整理しておきます。⑥⑦で差異があるに注意です。試験でも問われることがあります。

届出すべき事項 対象
有害物質使用特定施設
(有害物質を含む水が地下に浸透する工場、事業場を除く)
有害物質貯蔵指定施設
①氏名又は名称
②工場又は事業場の名称及び所在地
③施設の構造
④施設の設備
⑤施設の使用方法
その施設において製造され、使用され、又は処理される有害物質に係る用水及び排水の系統 - 
⑦その施設において貯蔵される有害物質に係る搬入及び出の系統  -

規制物質・項目

以下3つの基準に分けられます。

基準 内容
構造基準 ○設置場所の床面及び周囲
○施設本体に付帯する設備(配管、継手類、フランジ類、バルブ類、ポンプ設備及び排水溝等)
地下貯蔵施設本体について定めている。
点検基準
使用方法の基準 有害物質を含む水の流出や浸透がないようにする。

濃度規制と総量規制の違い

それぞれの違いをまとめると以下のようになります。

規制区分 規制の種類 対象 規制項目
地下水の
水質保全
浸透規制 有害物質使用特定施設※1が設置され、かつ、有害物質を含む水が地下へ浸透する工場、事業場 有害物質 カドミウム等定められた物質
構造規制

有害物質使用特定施設又は有害物質貯蔵指定施設※2を設置する工場、事業場が設置され、かつ、有害物質を含む水が地下へ浸透する工場、事業場(上記の有害物質を含む水が地下へ浸透する工場、事業場を除く)

有害物質
(施設の構造点検使用方法の基準を定めることで規制)
カドミウム等定められた物質

参考

  1. 新・公害防止の技術と法規 水質概論
  2. e-Gov 法令検索 水質汚濁防止法
  3. e-Gov 法令検索 水質汚濁防止法施行規則
  4. 環境省HP 地下水質に係る基準値について

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