環境基準、要監視項目、排水基準 違いは?

水質概論

こんにちは、ヘルメット犬(@helmet_dog)です。

この記事では

  • 環境基準とは
  • 要監視項目とは
  • 排水基準とは

についてサクッと整理します!

環境基準とは

定義

大気の汚染水質の汚濁土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準

環境法の最上位に位置づけられる環境基本法の中で定められています。
→環境基本法 第16条  (本文)

体系

具体的な項目は環境基本法を受けて環境省が定めている告示(お知らせのようなもの)に記されています。

水質関係の環境基準の全体像は以下のようになります。
詳細は環境省HP参照(水質汚濁に係る環境基準地下水の水質汚濁に係る環境基準)。

告示 分類 対象 物質・項目 備考
水質汚濁に係る環境基準について

人の健康の保護に関する環境基準
(健康項目)

公共用水域
(河川・湖沼・海域等)
カドミウムなど
27項目
 
生活環境の保全に関する環境基準
(生活環境項目)
pH等 河川、湖沼、海域で定められる項目が異なる。
地下水の水質汚濁に係る水質環境基準について 地下水 カドミウムなど
28項目
人の健康の保護に関する環境基準との相違点
  • クロロエチレン(塩化ビニルモノマー)追加
  • 1,2-ジクロロエチレンがシス体トランス体を含む

要監視項目とは

定義

公共用水域等における検出状況等からみて、直ちに環境基準とはせず、引き続き知見の集積に努めるべきもの

体系

水質関係の環境基準の全体像は以下のようになります。環境基準候補のような位置づけかと思います。
詳細は環境省HP参照(要監視項目 | 水質汚濁に係る環境基準)。

分類 対象 物質・項目 備考
人の健康の保護に係る項目 公共用水域 クロロホルムなど26項目  
地下水 クロロホルムなど24項目

公共用水域との相違点

  • クロロエチレン(塩化ビニルモノマー)除く
  • 1,2-ジクロロエチレン除く

(上記は地下水では環境基準に定められた為)

水生生物の保全に係る項目 公共用水域 クロロホルムなど6項目 河川、湖沼、海域で定められる指針値が異なる

排水基準とは

定義

有害物質や生活環境項目ごとに定める許容限度

詳細は水質汚濁防止法の中で定められています。
 →水質汚濁防止法 第3条  (本文)

また、有害物質はカドミウムなど28項目生活環境項目はpHなど14項目が定められています。
 →詳細は環境省HP参照(一律排水基準)。

体系

まず、水質汚濁防止法では以下のような体系で規制しています。この中でも排水基準濃度規制で用いられる基準となります。

規制区分 規制の種類
排水規制 濃度規制
総量規制
地下水の水質保全 浸透規制
構造規制

そして、排水基準の全体像は以下のようになります。
全部で3種類ありますね。それぞれどういう目的で設定される基準かは押さえておきたいですね。

分類 名称 対象 項目 内容
省令で定める
排水基準
一律排水基準

排出水
(公共用水域に排出される水)

  • 有害物質
    (カドミウムなど28物質)
  • 生活環境項目
    (pHなど15項目)
全国一律に適用される基準
暫定排水基準 一律排水基準を直ちに達成することが技術的に著しく困難な業種について、適用される経過措置
都道府県条例で
定める排水基準
上乗せ排水基準 都道府県の区域に属する公共用水域のうちに、その自然的、社会的条件から判断して、一律排水基準(暫定排水基準含む)では十分でないと認められる区域があるとき、条例で一律排水基準にかえて、定められる適用すべきよりきびしい排水基準

 

参考

  1. 新・公害防止の技術と法規 水質概論
  2. e-Gov 法令検索 環境基本法
  3. e-Gov 法令検索 水質汚濁防止法
  4. 環境省HP
    水質汚濁に係る環境基準
    地下水の水質汚濁に係る環境基準
    要監視項目 | 水質汚濁に係る環境基準
    一律排水基準

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